- 関係がうまくいくかは「相手が自分にどうしてくれていると感じるか」が大きく影響する。
- 苦しむ人は「相手が魅力を感じなくなる」ことや「大切にされていないと感じる」ことが多い。
- 自分が頑張っているかより、相手が自分に愛を感じさせてくれているかを見直すとよい場合がある。
うまくいかない恋愛で、あなたは「何」を責めていますか?
「私がもっと優しくできていれば」
「もっと気をつかえばよかった」
「私が悪いのかもしれない」
関係がうまくいかなくなると、多くの人はまず自分を振り返ります。
もっと愛せばよかった。
もっと理解すればよかった。
もっと努力すればよかった。
けれど、もし――
関係の満足度を本当に左右しているのが、「あなたがどれだけ愛しているか」ではなく、「あなたがどれだけ愛されていると感じているか」だったとしたら、どうでしょうか。
スロバキアのコメニウス大学ブラチスラヴァ校・社会経済科学部・応用心理学研究所が発表した研究は、この問いを正面から扱いました。
この研究は、とてもシンプルで、けれども深い2つの問いを検証しています。
1つ目は、「恋愛の何が満足を決めるのか」
2つ目は、「誰の行動がより大事なのか」
恋愛が苦しくなるとき、何が起きているのか
研究では、545組、合計1090人のカップルが調査されました。
その中から、
・関係に非常に満足している人
・はっきりと苦しい状態にある人
この両極端を取り出して比較しました。
まず調べられたのは、関係を構成するいくつかの要素です。
具体的には次の3つです。
・相手といると安心できるか
・相手に魅力を感じているか
・相手に大切にされていると感じるか
どれが、満足している人と苦しんでいる人を分けるのか。
結果は、はっきりしていました。
もっとも差が大きかったのは「魅力」
苦しんでいる人たちにもっとも多く見られたのは、「相手に魅力を感じなくなっていること」でした。
関係がうまくいっていない人の約半数が、まずここで大きな差を示していました。
次に多かったのが、「大切にされていないと感じていること」でした。
つまり、
・もうドキドキしない
・尊重されている感じがしない
この2つが、苦しさの中心にありました。
では、満足している人は何が違うのか
一方、関係にとても満足している人たちは、何が特徴だったのでしょうか。
もっとも多かったのは、
・相手といると安心できる
・相手はちゃんと応えてくれている
という感覚でした。
魅力も重要でしたが、満足している人たちの中心には「安心感」がありました。
興味深いのは、苦しくなるときと、満足しているときとで、特徴が対称ではなかったことです。
壊れるときの中心は「魅力の低下」と「大切にされていない感覚」。
満足を支えている中心は「安心感」。
同じ関係でも、崩れる理由と続く理由は少し違っていたのです。
もっとも重要だったのは「誰の行動か」
ここからが、この研究でいちばん重要なポイントです。
研究では、さらにこうした問いを立てました。
・あなたは、相手にちゃんと優しくできていると思いますか?
・あなたは、相手からちゃんと優しくされていると感じますか?
似ているようで、まったく違う問いです。
そして結果は、とてもはっきりしていました。
「自分がちゃんとやれている」という感覚は、
関係満足をほとんど説明しませんでした。
けれど、
「相手が自分にどうしてくれているか」という感覚は、
強く満足度を左右していました。
統計的に厳密な分析をしても、最後まで残ったのは、
・相手に魅力を感じているか
・相手が自分に応えてくれていると感じるか
この2つでした。
自分がどれだけ頑張っていると思っているかは、独立した意味を持ちませんでした。
「私はちゃんとしている」は、なぜ効かないのか
なぜでしょうか。
研究ではいくつかの可能性が考えられています。
まず、多くの人は「自分はそこそこ良いパートナーだ」と思いやすいことがあります。そのため、自分の評価はあまり差がつきません。
もうひとつは、もっと根本的な理由です。
人は、
「私はちゃんと愛している」
という感覚よりも、
「私は愛されている」
という感覚で安心します。
関係の中で感じる満足は、「与えている実感」ではなく、「受け取れている実感」に強く結びついている可能性があります。
もし今、あなたが悩んでいるなら
もしあなたが今、
・努力しているのに報われない
・こんなに頑張っているのに、なぜ満たされないのかわからない
と感じているなら、この研究は少し視点を変えるかもしれません。
問いは、
「私はもっとできるはずだ」
ではなく、
「私は、ちゃんと愛されていると感じられているだろうか」
かもしれないのです。
そして同時に、
「相手は、愛されていると感じられているだろうか」
という問いも、同じくらい重要です。
それでも、すぐに結論を出す必要はない
この研究は一度きりの調査であり、時間の流れの中で何が先に起きるのかまではわかりません。
また、スロバキアのカップルを対象にした研究であり、文化による違いもありえます。
けれども、
・非常に満足している人
・明らかに苦しんでいる人
この両極端を比べても、分析の方法を変えても、結果は一貫していました。
関係満足を強く左右していたのは、「相手が自分にどうしてくれていると感じているか」でした。
愛することと、愛されること
恋愛の話になると、
「自分が変わるべきだ」
「もっと与えるべきだ」
という言葉をよく聞きます。
けれどこの研究は、少し違うことを示しています。
愛することは大切です。
けれど、関係の満足を支えているのは、
愛している実感よりも、
愛されている実感かもしれない。
それは甘えではなく、人が関係の中で生きている存在だからこその構造なのかもしれません。
もし今、関係に悩んでいるなら。
あなたが足りないのではなく、
あなたが感じ取れていない何かがあるのかもしれません。
そしてその何かは、「もっと頑張ること」ではなく、「どうすれば愛されていると感じられるか」という問いの中にあるのかもしれません。
その問いを、責めるためではなく、理解するために持てるかどうか。
そこに、少し違う道があるのかもしれません。
(出典:Frontiers in Psychology DOI: 10.3389/fpsyg.2026.1773641)

